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電子チャートの問題・疑問

電子チャートの問題・疑問 

主に船上で航海の助けとして使用されるナビゲーションシステムで表示されている電子海図、電子参考図の問題や疑問について

電子チャート使用上の注意!!(特に拡大表示や収録情報の粗密)


最近のGPSプロッターの中には、海外のチャートメーカーが作成した日本の海図複製物が表示されているものがあります。 これらの海図情報は、一定の尺度では、ほぼフラットな情報量ですが、少し拡大表示するとそれ以上のデータが収録されていない海域が多数存在します。これらの情報を拡大表示して一見航海に使用できそうに見えてしまっていても肝心の暗岩などが収録されていない可能性が十分に考えられます。 C-MAPなどを使用する場合には、正規の海図と必ず併用しましょう。

航海用電子海図は、尺度ごとにユーザーが選択して契約するので、収録尺度をある程度利用者自身が把握することができますが、情報量の粗い小尺しか契約していない海域を拡大すれば、すぐに表示精度は悪くなります。 ベクトルチャートは、かなり拡大しても、それなりに滑らかな表示が得られるので、注意が必要です。

 

海図とは?


法律上の海図とは、航海の用に供する図誌です。  海図は、税金を使って海上保安庁が測量したり航路標識の情報を海図情報へ反映させて、航海の安全を守っています。 

 

電子海図は、海図の搭載要件を満たしますか?


搭載義務のある船舶は、正規の海図を備え置かなければいけません。小型船舶をの場合には、航海用電子海図は海図として認められています。 しかし、それ以上の船舶で海図の備置義務がある場合には、航海用電子海図は、一定の条件下で搭載されないと海図としては認められません。 このことは、(財)日本水路協会のガイドブックで詳しく解説されています。

外部リンク: (財)日本水路協会 電子海図とその船舶搭載要件の実際

 

海図の流通


海図は、国が作りますが流通にはタッチしていません。 測量から得られた情報で海図の版下(印刷物の原稿)までを海上保安庁が作成します。 その版下を複製頒布者が大量に印刷して市場へ販売するのです。 海図は、プレジャーボートなどでは単に航海のために使用されるイメージが強いのですが、少し大きな船になるときちんと管理された法律上の海図を搭載することが求めれています。 搭載しなければ、船舶検査を通らないばかりか商船の荷主が独自に行う検船(船検ではありません。)でも海図はチェックされます。 

 

海図の版権は誰が持っている?


海図の版権は、海上保安庁が持っています。 

 

海図の複製頒布者って誰?


さっそく私も複製頒布者に名乗りを上げたいと考える人もいると思います。 残念!!!! そうは問屋がおろしません! 日本で唯一このおいしい商売を1社独占で行っているのは、財団法人 日本水路協会です。 しかも、この特殊法人は水路業務法で複製頒布者として定められているのです! そんじょそこらの天下り先とはちがうんです! 政府指定の卸問屋みたいなもんです。 小泉改革の嵐にも耐え、現在でもおいしい商売をしているのです。 海図は、紙に印刷されたもので、いくらい良い紙を使っても改補作業を繰り返し、何度も加筆修正、航海で使われれば痛みます。 船を新造すれば、海図は全部そろえばければいけません。 外国の船でも日本へ入港する船は、海図が必要です。 まぁそんなこんなで、海図はタダの海の地図ではないということです。 

平成19年12月19日 付で複製頒布者の公募制度が始まりました。 海上保安庁は、きちんと監督指導の力を発揮していたのです。 ダラダラと従来の流れで国有財産使用権を特定の法人に限定することは、世の中の流れに逆行していますから。 どうやらその関係から、海洋情報部の軒先で商売を長年やってきていた(財)日本水路協会は、羽田空港内のビルに移転したようです。 お上の傘で雨露しのぐことはまかりならんということでしょう。 我こそは、複製頒布者に! という方は、水路図誌のエキスパートを求人し、在庫を置けるストレージを準備、様々な管理システムを構築して審査を受ける申請をしましょう!

PDFダウンロードこちらが公募に関するお知らせ。

 

海図の国有財産使用料っていくら?


海図の版権を使用するための国有財産使用料は、なんと売価のたった10%です。 たとえば、W100-A 瀬戸内海東部 1/250,000 (税別)¥3,200- のうちたった320円が国へ 残りの¥2,880-が(財)日本水路協会の粗利! ちなみに、水路業務法が複製頒布者に上乗せしても良いのは、正味の経費(人件費など)、宣伝広告費などとしています。 在庫の海図を改補する手間を考えても相当の利ざやがあります。

 

財団法人 日本水路協会 って?


とてもわかりやすい、海上保安庁の外郭団体であり天下り先です。 

OBでないと出来ない業務があります。 海図という特殊な図誌を流通させるには、きちんとした品質管理の下、最新水路通報によって改補作業がされたものでないといけません。 法律で搭載が求められている図誌なのですから、経験のある専門職が必要です。 最新のオンデマンドプリンティングと海図情報のデータベース化でこれらの作業を省力化する手段はあると思います。

誰でもできる業務があります。 別にしなくても大勢に全く影響のない業務もいっぱいあります。

その一つ、各種印刷物、リーフレット、啓発運動やPRなど、海図にPRが必要ですか? プレジャーボートの免許保持者ならば、免許取得の際に海図が航海に重要なものであることや、海図の読み方を習ったハズです。 GPSプロッターで教習したひと居ないと思います。 いまさら、航海には海図を使いましょう!とか複製頒布者がお金をかけてやることでしょうか? 

利ざやに様々な企業が群がっています。 

その頂点は、(財)日本水路協会 毎年 大勢の職員をボートショーなどのブースへ派遣して海図や関連図誌の即売を行っています。  あのブース代どのくらいかご存じですか? ブースの小間数、ブースの建て付けなどで相当な費用がかかっています。 そして4日間通しの人件費。 いくら粗利の大きな海図といっても素人相手のボートショーでいったいどの程度の売上があるのでしょうか? このような無駄な経費を業界へ落すことも彼らのお仕事なのです。 ちなみに、国庫に入る国有財産使用料が、海図の整備に使用されるわけではありません。

類似刊行物ってなに?


 海図とは? 国が測量、版下まで管理、(財)日本水路協会が複製したもの以外にはありません。 似たようなものを複製してもダメです! そのまんまパクったりとかは絶対ダメなんです。 海上保安庁は、英国などの国に対して海図情報を提供する条約を結んでいるそうですが、英国の海図を水路協会が印刷していることはありません。 英国のBAチャートなどの海図が日本の海域もカバーしているのは、この条約の関係と思われます。 じゃGPSプロッターやレーダーなどで使用されているなんとなく海図っぽい情報は何なのでしょうか? それらは、類似刊行物と呼ばれているもので、海図のデータが素になっていますが、深度や灯質といった情報は表示してはいけないことになっています。 法律で規制されているのですから、まともなメーカーは、絶対に深度や灯質の入ったデータを使っていないのです。 過去に、それらのデータが入ったデータを流通させて回収させられたケースもあるくらいです。 ん?うちのプロッターには、深度も灯質も表示されてるよ! と思われた方もいらっしゃると思います。 それは、海外のメーカーが手段を選ばず日本の海図情報を複製承認を得ずに電子化したものです。 有名なもので、C-MAPがあります。 彼らは、Webサイトでは、C-MAPの素データになっている海図情報を使用するにあたり各国の承認を得て対価を支払っているかの表現がありましたが、これは大嘘です。 カナダは、C-MAP社を相手取って提訴しています。 日本は、抗議しているうちにも入らないような甘いもので、やられ放題の状況です。ルールを守って類似刊行物で我慢している国内メーカーは、どうしているのでしょうか?

方法その1 

国内向けには、国内向けの類似刊行物バージョンで、海外向けには、C-MAP仕様で出荷する。 おぉさすが日本企業まじめですな? と思ったら海外仕様といっても取説が違うくらいでほとんど同じ商品、日本でも海外から日本近海のC-MAPカードを挿せばあらら日本の海図が画面で出ちゃう! 

方法その2

FURUNOが行っている変なカラクリ、FURUNO製のGP-7000というGPSプロッターがあります。 この製品の国内向け商品には、最初からSDカードに収録された類似刊行物がついています。 私の調べでは、日本水路協会は、この製品のERC使用料を受け取っています。 しかし、表示されているのは、ERCではありません。 明らかにC-MAPのデータです。 深度表示もありますし、灯質も表示されています。 データの密度でいえば、航海に使用できるようなものではありませんが、見た目は海図に見えます。FURUNOは、ERCのデータをC-MAPに渡して作成したものであると回答しています。 C-MAP社は、ERCのデータなんか無くても日本の海図をパクって作ったデータを持っています。  

このカラクリは、古野電気から日本水路協会への強いメッセージが含まれているのではないかと思っています。

「おまえらが、水路業務法を盾に、航海計器向けのデータを充実させないのならば、我々にも考えがある!C-MAPデータを航海計器向けに導入するぞ! ERCの使用料は、そのまま払ってやるから文句ないだろう!」  っていうかもうしてるけど・・

 

C-MAP最高!って いうけど・・・


最近では、検索サイトで”海図”や”電子海図”で検索するとスポンサーサイトに電子海図のことなら日本最大級の○○専門店にお任せ 魚群探知機**,00円より と派手にネット販売をしている業者さんがいらっしゃいます。 電子海図が魚探で使えるなら画期的! と思って見たところ全て海外製のC-MAP商品でした。 なるほど深度も出てるし海図ですわな! 海図と言って売っちゃっていいんですかね? 少なくとも日本の製品であれば、「本品は航海の用に供するものではありません。 航海には、正規の海図を使用してください」と注意喚起されますが、海外製の製品にはありません。  C-MAP社の電子海図データには、大型船のECDISで公式電子海図の無い海域を補完する目的で使用されるC-MAP CM93というベクトルチャートがあります。 見た目オフィシャルチャート(ENC)と一緒です。 ところが、ある外国商船が東京湾でこのCM93を使用していて間違った航路へ誤進入してしまったことがあったのです。 最初に船員がミスを犯しています。 C-MAPを航海の用に使用してしまったのです。 深度も表示されていて、海図と見分けがつきませんから、仕方ないといえばそうなのですが・・・  その船は、海保からお灸をすえられることになったのですが、商船側は逆キレです! ふざけんな!おまえらの作った海図が間違っているから俺らは事故になりかけたじゃねーか!  (ちょっと脚色しています。) 海保が調べてみると、公式の電子海図ではなくC-MAPでした。 この話しには、後日談がありC-MAPのような海図に見える安価なチャートシステムで事故を引き起こしそうになったという事例をあげて国内の業界団体向けに注意喚起がされたのです。 ところが、ある業界団体が何を思ったのかC-MAPに問題があったのに、安価なナビゲーションシステムによって事故が起こりかけたというFAXを全国に一斉配信したのです。 このような事態になってもC-MAP社は何の責任もとってはくれないばかりか、海図を使用しないで航海して事故を起こせば必ず責任を問われます。 見た目は海図、でも大丈夫?

諸々直接聴いてみました;


この取材は、2005年4月1日からそれまでのIHO S-57電子海図にS-63暗号化がかけられて供給されることになり、その直前に複製頒布者でsる(財)日本水路協会と監督指導する立場の海上保安庁 海洋情報部へ直接取材したものです。 

海上保安庁 海洋情報部に聞く
AECS for PC
2005年4月1日(金) 22時12分

2005年2月10日 著者は、ENCのS-63化をきっかけに、かねてより疑問に感じていた点について、海上保安庁 海洋情報部 と 財団法人 日本水路協会に出向き直接お話しをお聞きすることにした。

海洋情報部では、技術国際課の楠 課長補佐と、航海情報課の岸本課長補佐のお二人がお忙しいなか、質問にお答えいただきました。 海洋情報部の現場スタッフの目指す方向性は、今回のS‐63導入のメリットにも書かれている通り、手軽に海図情報を航海に役立てて欲しいというものであったことは確かです。 しかし、現場レベルとの意識の差が大きいのも事実です。 


回答は、海洋情報部 技術国際課 楠 課長補佐より 


●海上保安庁 海洋情報部への質問と要望

【質問1】

今回、S-63化で改版のリスクを分散するとあります。 紙海図であれば、海図情報は、紙の上にインクで印刷されており、情報だけを差し替えることは不可能です。また、印刷物である紙海図は、経年劣化などで傷みますので、必然的に改版=買い替えとなります。 利用者もこの点について異論は無いと考えております。 しかしながら、デジタルデータである電子海図の場合には、媒体と情報は完全に分かれており、また経年劣化もなく、情報には質量も体積もございません。 仮に、改版が生じた場合には、必要最低限のコストを利用者負担とすることが可能と考えますが、いかがですか?

回答

電子海図の複製頒布に関しては、最新情報を常に提供しなければならない他、関連情報の周知、広報、販売管理等のために経費が必要であり、その経費を電子海図の売上により賄っています。これまでの販売体制の下では、電子海図は紙海図と同様に、改版に伴う買換需要によりその経費を回収することが前提となっているため、改版時にはユーザーに対して買換を求めることになっています。しかし、電子海図は紙海図と異なり、一時の改版対象が電子海図全体に及ぶことがあり、その場合にはユーザーに過大な負担を強いることとなります。そのようなことを避けるために、ライセンス制を導入することとしました。

電子海図の改版を行う場合は、S-57やS-63の仕様変更によるものやデータの内部番号のオーバーフローの防止によるものなどがあります。


【質問2】

国として税金を投じて整備された海図情報は、何の目的で主に使われているとお考えですか?

回答

船舶が安全かつ経済的に航海できるように海図を刊行しており、電子海図については特により安全で効率的な航行を援助するため、世界的に統一された基準による航海用電子海図を刊行しています。


【質問3】

現在、国有財産使用料は、‘売価’の10%とお聞きしております。そうすると、現行の電子海図の場合には、原版を国から提供受けた(財)日本水路協会 がコピーして頒布するだけで、高い利益率を得ておりますが、これを妥当な業務の対価とお考えですか?

回答

 電子海図の価格は、複製頒布者の発生する製造原価+国有財産使用料+販売店の販売手数料から成っています。また、複製頒布者の製造原価は、人件費、材料費、製造に要する機械のコスト等からなっています。この算式のとおり、電子海図の価格は複製頒布者の利益を予定しているものではありません。


【質問4】

現在、国有財産使用料は、‘売価’の10%とした場合には、国に一定の歳入を確保するためには、従来の紙海図を基本とした価格体系に成らざるを得ず、制度そのものに矛盾があると感じます。国有財産使用料を料率ではなく定額とする法改正の必要性を感じておられますか?

回答

国有財産使用料率は、一般的な著作権使用料率から決定しています。


【質問5】

現在、電子海図編集装置を操作できる人員は、何名居られますか?

回答

電子海図を作成する装置を操作する人員は7名です。


【質問6】

電子海図編集装置には、年間4千数百万円の予算がかかっています。新規の電子海図は、しばらく刊行されておりませんが、設備は無駄なく使用されていますか? 過去3年間の1編集装置当りの作業従事時間を概算で教えてください。 刊行待ちのエリアがあれば教えてください。

回答

電子海図を作成するための電子海図作成装置は無駄なく使用されており、1装置当たりの作業従事時間は1日約7~8時間です。

 今後刊行予定の海域は、紙海図が刊行されているが電子海図の刊行が未だ出ていない箇所で、平成17年4月の刊行予定は紙海図約30図相当で秋田船川港秋田、七尾港、金沢港、厳原港、志布志湾など全国の港泊図や紙海図8図相当分で北西太平洋の海域を主に予定しています。


【質問7】

国内のあるメーカーが、複製承認を得てENCを2次加工した電子チャートを販売しています。 これは、SENC売りと同じではないですか?

回答

 当庁刊行のENCを二次加工して電子チャートを作成することについて、当庁はこれを承認していません。

なお、紙海図の内容の一部を利用して作成した航海の参考図を海図の類似刊行物として発行を許可した例はあります。これは、海図や電子海図との違いが明瞭であるとともに、「航海には海図を使用すること」との注意喚起も表示されることから、航海の安全確保に支障はないと判断して発行を許可しています。しかし、SENC売りを承認しているわけではありません。


【質問8】

私も複製承認を申請すれば、SENCを販売することができますか?

回答

 当庁刊行のENCについては、現在SENC売りを認めていません。


【質問9】

海外の電子チャートメーカーが、日本の紙海図を使って独自の電子チャートを販売していますが、この事についてはご存知ですか?

回答

現在調査を進めているところです。


【質問10】

質問9のお答えが、ご存知の場合には、そうした民間企業からは国有財産使用料を徴収していますか? していない場合には、何故しないのか? 理由をお聞かせください。

 

回答

調査結果に基づいて必要な対応をとります。


【質問11】

仮に、現在、国庫に入る国有財産使用料が減らさずに、極限まで販売コストを下げることは現実的に可能だとお考えですか? また必要性は感じられますか?

不可能だとお考えの場合には、その理由を

回答

複製頒布者に発生する製造原価は、人件費、材料費等で構成されています。これらの中には複製頒布者の努力ではいかんともしがたい項目もありますが、今後とも長期安定的に、かつできるだけ廉価に電子海図が提供できますよう、引き続き必要な指導をしていきます。


【質問12】

S-63のライセンス期間は1年間となっていますが、1ヶ月単位で購入できるように、法改正を含めた必要性があるとお考えですか? 無いとお答えの場合には、その理由をお聞かせください。

回答

1ヶ月単位でのライセンス制の設定は考えていません。今回のライセンス制の導入に関して、国有財産法の観点からは1年間有効の電子海図を販売することとなっています。したがって、1ヶ月単位での販売は不可能です。


【質問13】

現行の電子海図には、編集途中に生じた様々な‘間違い’がありますが、これらを積極的に解消するような作業をされていますか? されているとお答えの場合、現在までどのくらいの‘間違い’を修正されましたか?

回答

これまでに、10回程度ユーザーからの指摘により、修正を実施しています。

なお、昨年3月の歪み補正改版の際に全てのセルに対し検討を行いました。また、現在、審査基準の改正等に伴う改善を実施しているところです。


【質問14】

海洋情報部は、航空機を使用した測量システムを導入されたとお聞きしておりますが、稼動状況と、実績を教えてください。

回答

平成16年度より運用開始しました。年間をとおして作業を実施しています。


最後に、(財)日本水路協会の担っている役割をお聞かせください。

回答

(財)日本水路協会の設置目的とは、水路測量、海象観測等の海洋調査に関する技術の進歩発達を図るとともに、これらの調査の成果の有効な活用を図ることにより、航海の安全、海難の防止、海洋環境の保全及び海洋開発の振興に寄与することです。この目的を達成するために次の事業を行っています。

・海洋及び海洋調査の技術に関する調査研究

・海洋調査の成果の収集、分析、整理、提供

・船型別航路の選定等海難防止に関する調査研究

・水路図誌及び航空図誌の複製及び頒布

・漁船、小型船等の海難防止に必要な図誌類の刊行

・海洋調査のための機械及び器具の開発

・海洋調査に従事する技術者の指導及び養成

・海洋調査に関する技術の審査

・海洋調査に関する知識の普及

・海洋調査に関する相談

・海洋調査に関する出版物の刊行

・その他本協会の目的を達成するために必要な事業


当たり障りの無い、回答の中にも大変重要な情報が含まれています。 

 

質問3の回答にある 「電子海図の価格は、複製頒布者の発生する製造原価+国有財産使用料+販売店の販売手数料から成っています。また、複製頒布者の製造原価は、人件費、材料費、製造に要する機械のコスト等からなっています。」 

この回答からは、ENCの価格は、複製頒布するために生ずるコストと、販売店の販売手数料から成っているとあります。 つまり、ENCの価格には、ENCを複製頒布するためのコストのみがコストとして転嫁できるということになります。 よって、(財)日本水路協会は、ENCの複製に関わるコスト以外を価格に転嫁してはいけません。 

では、従来のS-57電子海図、2005年4月1日よりスタートしたS-63電子海図のコストの内訳はどうなっているのでしょうか? 

同協会の収入構造は、収益のほとんどを海図収入から得ています。 ということは、協会の浪費するコストは、ほとんどが海図の複製頒布に関わる利益から成っているということです。 

では、収入の少ない事業や、赤字の事業の経費はどこから出るのでしょうか? 大勢の参与や理事、部長クラスのJCG OBの給与 退職金も、海図の複製に関わるコストして転嫁されているわけです。 

数年で、入れ代わり立ち代り人員を入れ替え、退職金を支払い、大した仕事もしないで、安泰な天下り生活を支えているのは、末端の海図利用者なのです。

海洋情報部は、航海者の利便を優先させるのか? 組織のOBの再就職先の受け皿確保を優先させるのか? よく考えて、(財)日本水路協会を監督指導して頂きたい。

 


 

(財)日本水路協会に聞く

AECS for PC

2005年3月10日(木) 12時00分

2005年2月10日 著者は、ENCのS-63化をきっかけに、かねてより疑問に感じていた点について、海上保安庁 海洋情報部 と 財団法人 日本水路協会に出向き直接お話しをお聞きすることにした。

(財)日本水路協会では、水路図誌事業本部 久保 参与と水路図誌事業本部 今井 電子海図事業部長 のお二人が、質問にお答えいただきました。 ご両人は、どちらも海洋情報部のOBです。 口頭での、質問に対する回答は、大変歯切れの悪いもので、大半はこの場でお答えすることは差し控えておきます。 と、国会答弁のような対応にうんざりすることしばしば…。 後日書面にてご回答頂くことを約束して頂き、約1ヶ月後にようやくお返事をいただきましたので、ご紹介いたします。

以下の回答は、財団法人 日本水路協会としての正式見解です。 質問内容に振った数字に一部重複がありましたので、訂正した以外は、原文のまま転載しました。 答えられない場合には、答えられない理由を必ずお答え頂くようにお願いしておりましたが、まったく無視されたようです。 (質問リストは、1週間前にお渡ししてありました。)


【質問1】

海図とは、主にどこで誰が、何の目的で使うものだとお考えですか?

【回答1】

 海図とは、船舶の安全航行のために必要なものであり、特に一定の船舶にあっては、IMOのSOLAS条約及び国内法規である船舶安全法の規定により、これを備え置くべきものとして刊行されています。


【質問2】

航海用電子海図と海図の違いを説明してください。 特徴、長所、短所など

【回答2】

航海用電子海図も、SOLAS条約によりバックアップ機を備えることを条件に紙海図と同等の地位を与えられています。非常時等を除けば、紙海図の機能をすべて満たした上に、それ以上の利便性も備えていると認識しております。


【質問3】

電子海図は、従来の紙海図と比べると流通にかかるコストは、非常に低いと思われますが、現行の電子海図での(財)日本水路協会が担っている流通パートをお聞かせください。 具体的には、原版を海洋情報部から受け取って、出荷されるまでの手順およびコストをお答えください。

【回答3】

この種の質問にはお答えしないこととしております。


【質問4】

S-63では、改版のリスクを分散させることがメリットに挙げられておりますが、紙海図と異なり、改版にともなうコストが非常に低いデジタルデータを導入するにあたって、改版のリスクをメリットに挙げる必要はありますか? 

【回答4】

水路協会としては、改版のリスクがないことを新システムのメリットだと言ったことはありません。詳しくは海洋情報部にお訊き下さいますようお願いいたします。


【質問5】

S-63の供給開始は、本年4月1日となっておりますが、それまでに円滑なサービスを開始することが可能ですか?

【回答5】

開始するために一所懸命やっております。


【質問6】

S-63供給システムの導入費用は、いくらですか? また、システム納入企業名と企業選定の方法をお聞かせください。(ソフトウェア、ハードウェアについて)

【回答6】

この種の質問にはお答えしないこととしております。


【質問7】

(財)日本水路協会の人事および、人件費についてお尋ねします。 現在の職員数と、職歴(前職)および、勤続年数、退職金について、過去5年間の情報をご開示ください。

【回答7】

この種の質問にはお答えしないこととしております。


【質問8】

コストを下げるための努力は行っておられますか? 具体的に事例を挙げて、ご説明ください。

【回答8】

当協会のあらゆる分野のあらゆる面で常に業務の点検を行いコスト削減に努めております。

具体例についてはお答えしないこととしております


【質問9】

PECとERCについてお尋ねいたします。 それぞれの整備費と、収益をトータルで結構ですので、ご開示ください。

【回答9】

この種の質問にはお答えしないこととしております。


【質問10】

‘改版’についてどのようにお考えでしょうか? 紙海図、電子海図それぞれのご見解をお聞かせください。

【回答10】

基本的に有料であるべきであり、紙海図、電子海図ともに同じであると考えております。


【質問11】

S-63化以降、取次店のインセンティブをお聞かせください。

【回答11】

電子水路通報の配布などの労力を考えると、あまり魅力はないかも知れません。特に、3年間の優遇措置の期間中は非常に苦しいと思われます。取次店の、ENCを広く普及させたいという使命感に期待しております。


【質問12】

Web経由の電子水路通報について、受け渡しの手順などの公開などは、いつごろ発表されますか?

【回答12】

3月中旬までには水協ホームページに載せるとともに販売代理店に通知する予定です。


最後に、(財)日本水路協会の担っている役割をお聞かせください。

 

当協会の設置目的は、水路測量、海象観測その他海洋調査に関する技術の進歩発達を図るとともに、海洋調査の成果の有効な活用を図ることにより、航海の安全、海難の防止、海洋環境の保全及び海洋開発の振興に寄与することであり、この目的を達成するために次の事業を行っています。

(1)   海洋及び海洋調査の技術に関する調査研究

(2)   海洋調査の成果の収集、分析及び整理並びに提供

(3)   船型別航路の選定等海難防止に関する調査研究

(4)   水路図誌及び航空図誌の複製及び頒布

(5)   漁船、小型船等の海難防止に必要な図誌類の刊行

(6)   海洋調査のための機械及び器具の開発

(7)   海洋調査に従事する技術者の指導及び養成

(8)   海洋調査に関する技術の審査

(9)   海洋調査に関する知識の普及

(10)海洋調査に関する相談

(11)海洋調査に関する出版物の刊行

(12)その他本協会の目的を達成するために必要な事業


もやは、電子海図時代に彼らの役割は終ったと感じるのは私だけでしょうか? また、海洋情報部が目指す、より手軽で高精度な海図提供の役割を、コスト意識の希薄な公益法人に任せっきりで、好き勝手に運営させていることは、非常に問題であり、今後のデジタルチャートの普及を妨げるものである。 また、同協会には、電子海図技術者が居ないのに、どうやってS-63の供給システムを作り上げていこうというのだろうか? 納入業者の言いなりで、言い値のシステムを納入し、それらのコストを価格に転嫁する。それだけならまだしも、組織全体の支出を支えるために、海図の価格が決められていることは非常に問題である。 調査や研究、養成などは、好きにやって頂いて結構! しかし、それらの人員のコストまで海図や電子海図に転嫁することに対して、利用者から理解が得られるとは到底思えない。

くどいようだが、財団法人 日本水路協会は、国から海図情報を複製頒布することを唯一認められた、公益法人である。 財務、人事などあらゆる情報は、ガラス張りで運営されるべきで、一点の曇りもあってはならない。 「この種の質問にはお答えしないこととしております。」 という回答は、納税者である国民に対しての背信的な回答であり、独占的に国から複製頒布者に指定されている公益法人にはあってはならない回答だ。 

 いまのままの水路協会は不要だ!

なんて書いてから数年が経過しました。2009/10/20 

自民党政権が崩壊して、民主党が政権を取ってどうなったんだろ? ムム、水路協会がいつのまにか移転している。 今までは、海上保安庁海洋情報部の軒先でベッタリな感じで商売していたのに・・・(文句を言うには同じ所で便利がよかった)羽田空港のビルに移転したいた。 複製頒布者は、無条件に水路協会が行っていたのが公募制になっています。 自浄努力なのか? 世の中の動きに柔軟に対応しているのか?直接聞いたわけではないので、わかりませんが以前の水路協会とは少し変わってきているようです。 

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