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航海記

釜山航海 本編 釜山~博多 2007年8月13日〜15日

写真ゆっくりできたのは、到着日だけ・・ 翌日には、出港準備をしなくていけません。 燃料の手配、給水、出国手続き、Iオーナーは発電機不調の原因を調べる宿題もあります。

 

 

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2007年8月13日 の天気図

対馬海峡付近は、太平洋高気圧から熱帯低気圧へ温かく湿った空気を送りこんでいます。

午前中に、海洋警察からの放送がマリーナ内に流れる。 通訳のバンさんに聞くと、出港してはいけません的な放送だそうです。

 

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ヨットハーバーには、給油桟橋がありません。 桟橋の横までは、小型ローリーで配達してもらえるのですが、そこからポリタンクで船との間を往復です。 メインタンク満タンとポリタンク満タンで、200L給油しました。 支払の時にずいぶん高いなぁと思っていたところ、韓国ではガソリンよりも軽油の方が値段が高いらしく、予想外の支出となりました。 当然、日本の免税券は使えません。 普通外国船への給油は免税のハズなのですが、韓国の国内法を知っている訳ないのであきらめます。

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お昼も、金さんが案内してくれるとのことで、世話になり通しです。 お昼ごはんの前に、入管に出向いて出国手続きをします。 明日もし出国できない場合には、一度キャンセルの手続きをとるように言われます。 

 

出国手続き完了。  Nさん

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お昼ごはんは、韓国のふぐ料理です。

 

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韓国のふぐ鍋は、ちょっと日本のイメージとは違いました。 鍋に材料を入れるところまでは、同じなのですが一度に全部の具を入れます。食べごろになったところで、おばちゃんが来て全部の具を上げてから、食べます。 残ったスープにご飯を入れて雑炊にして取り分けてくれます。 一番右の白い液体は、シッケ?と言って甘酒のような甘いのみものです。 ペットボトルのような容器や麦茶の容器のようなものに、カルピスくらいの白濁した液体が入っていて中にご飯つぶが沈んでいます。 味は、マイルドな砂糖水っぽくてクセはありませんが、甘くて・・・・。

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ダイナミックな露天商。 食べるには勇気がいるような・・・ まぁとにかくあっちでもこっちでも露天だらけ、小雨程度じゃ閉店しません。

 

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通訳のバンさんとオーナーの友人のNさん

なんだか怪しい二人です。  

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お世話になった金さんともお別れです。 駐車場まで見送りに行ったのですが、滞在中に世話になりっぱなしでした。別れ際にポロポロ涙が出てしまいました・・・・

 

金さんカムサハムニダ!

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夜は、SARACOMの柳さんと社員さんが宴会をセットして頂きました。

ジャパニーズレストランとありますが、ほぼ100%韓国スタイルです。

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柳さんにもお世話になりっぱなしで、本当に助かりました。 明日は、朝早い出港になりそうなので、今夜でお別れです。  

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生暖かい風が相変わらず吹いています。 FEAST2は、明日の出航準備を終えて天候がこれ以上悪くならないことを祈るのみです。

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2007年8月14日 の天気図

ストライクです。

電子海図スクリーンショット

05:00起床  天気 くもり

ネットでウェザーチェックをします。 熱帯低気圧が朝鮮半島にかかっています。対馬海峡付近の海上は、南寄りの風7~10m 波3~4m 上がり傾向のち回復傾向

船長の判断は、またまた条件付きの出航で、無理そうならば早めに引き返すということで、予定よりも遅れて08:00釜山ヨットハーバーを出港しました。

事情により、これよりしばらく映像がありません。 (~o~);

FEAST2は、出港後機走(エンジン)のみで、針路を対馬浅茅湾へ取り、対地速度8ノット前後で南下します。 途中、雲は切れ晴れ間が出るも風は上がり、みかけの風が10mを超えています。 うねりは、ますます高くなり4階建てのビルくらいのうねりを越えると、巨大なハーフパイプに滑り落ちる・・これの繰り返しです。 そんな中でも、韓国の漁船が操業していました。 このまま浅茅湾への最短コースでは、風向きや波の方向から燃料の消費も多く、もしこれ以上天候が悪化した場合に、避難港までの距離も長くなるのでコース変更です。 現在位置は、釜山から南へ10NM、対馬の北端を目指すコースに変更です。

天気は、目まぐるしく変わりさっきまで晴れていたかと思うと、どしゃ降りの雨です。 同じ風と波でも、それに雨があるのと無いのでは、精神的にずいぶん違うものです。 辺りが真白になるくらいのどしゃ降りの雨がくると、雨で目を開けられず息すら辛い状態です。 それでもIオーナーと私で交代で舵を取りながら、Oクルーはレーダーとコース方位の確認をします。 

 

電子海図スクリーンショット

13:00 対馬の北端がはっきりと見えてきました。 

天気は晴れ、うねりはおさまり、風も落ちてきました。 このままなら、夕方までに浅茅湾に入れそうです。コースを南に戻し、対馬に沿って南下します。

ところが、行きは追っての風と波で気にならなかったのですが、ずいぶん潮が速く流れています。 対地速度5ノット

電子海図スクリーンショット

航跡の小さなドットが、10分間隔大きなドットが1時間間隔です。 どんどん対地速度が落ちています。

15:00 猛烈な風と波長の短い波3m 対地速度は、3ノットを切ることもしばしば出てきました。

この調子で浅茅湾へ向かうのは難しく、万が一エンジントラブルでもあれば目の前の対馬に打ち上げられてしまいます。船長判断で、最寄の港へ避難することに決定します。

風は、突風時に15mを超えるようになります。 海面は、泡で真白・・・

 

電子海図スクリーンショット

16:06突然 ECSの画面が真っ暗になり表示されなくなりました。船の状況からキャビン内で原因を見つけることはできそうにありません。

空には、濃い雲が出て辺りは薄暗くなりつつあります。 

11時の方向に黄黒のブイを視認する。近くに険悪地があることを示すブイで、この先の避難港に入るにはそのブイの近くを通らなければいけない。 目視では、ブイの上に付いている険悪地の方向を示す形象物が見えない・・・

そこへ救世主登場! オーナーがその年のボートショーで衝動買いしたガーミンのハンディーGPS、しかもブルーチャート付き! 電池で動作するので、すぐに使えます。 避難港のディテールが読める程度の情報もあります。できるだけ黄黒ブイから離れるまで南下してまっすぐに湾奥へ入るように辛抱。  衝動買いも時には役立つみたいです。

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S字に曲がった湾は、嘘のように静か、あれだけ吹き上がっていた風もまったく感じない。 しばらく進んだ先の漁港に舫いを取ります。

本船は、外航資格の船で上陸はしてはいけません。 もしこれが、日本以外ならば不法入国で逮捕もんでしょう。

明日の予定もあるので、入管、税関、保安部、検疫へ連絡を入れる。 明日の入港予定には、間に合うようにしますと・・・。 本船の動静については、保安部さん以外には、少しぼやかして報告; 保安部には、正確に港名と状況を説明します。

頭から足の先までズブ濡れ; 船内は、物が散乱して大変です。 さっそく船内を整理して、肝心なときにダウンしたECSを調べます。 原因は、博多出港時にいい加減な仮設取り付けで船外へ出していたケーブルを伝って海水が浸入して、UPSの上にまともにかかっていました。 UPSを外して、直接電源を取ることで解決です。

海保に電話するときに港の名前を調べていると、近くの家からおばあちゃんが出てきます。見慣れない船が着いたので、見に来たのでしょう。 

あんたらどこから来たとね?

釜山から博多へ帰るところだったんですが、時化で避難してきたんですよ~

へぇ~この時化の中来たとか~!

全身ズブ濡れで、かわいそうに思ってくれたんでしょうね。

今お風呂沸かしてやるから入りなさい。

いや僕以外に3人いるので、ご迷惑ですから;

お盆で孫たちも集まってるから少々増えても関係なか。

こういうケース初めてで、お言葉に甘えていいのか?温かいお風呂にもひかれるしー

せっかくなので、遠慮がちに厚意に甘えることにしました。

ものすごく人里離れているのに、港は立派だしお宅も立派な造りの家が数件あります。 お風呂はめちゃくちゃ今風のユニットバスで、きれいにされています。ゾロゾロと4人でお邪魔してお風呂を頂戴しました。 お盆で九州から娘さんやお孫さんが帰省されていて、漁師を継がれた長男の方からこのあたりの海の話など色々聞かせてもらいます。 そうこうしているうちに冷えたビールやら、サザエやら・・・・・ ヤバいこのまま居たら長居してしまいそー。 お礼を言って失礼しようとすると、おばあちゃんが「いりやき」食べていかんねー とまたまた魅力的なお誘いが・・ いいのか? このままズルズル世話になって; もう流れは止められそうにありません。 次々と対馬の海の幸と冷えたビールが出てきます。 そして「いりやき」です。 まったくどんなものか想像もできなかったのですが、鶏のなべもので野菜と一緒に煮てあり、醤油っぽい色は着いていません。 食べてみると甘みがありあっさりしたすき焼きのような味です。鶏が地鶏なのか? めちゃくちゃ味が濃くて適度な歯ごたえがあって超うまいです。 帰省に合わせて用意されていたのかも? 申し訳ないと思いながらもこの味には勝てません。

一段落して塩ゆでしたサザエを食べているときでした。 漁師をされている長男の方からサザエの貝柱のまわりにあるヒダヒダを取って食べると苦くないと教えてもらう。 実際に、外して食べるとまったく苦くない! ヒダヒダだけ食べると苦い! キモだけ食べても苦くない。 目からウロコぢゃ~ 臼杵でジャリジャの原因は、サザエの歯であることを知ったときもそうでしたが、これでサザエのおいしい食べ方が完結しました。

1)サザエの中身を出す

2)貝柱のすぐ横に口があります。 少し飛び出しているのでわかります。 そこを手か歯で外します。中から白っぽい筋のようなザラザラしたものが出てきます。 これがサザエの歯でヤスリのように固く食べるとジャリジャリします。

3)次に、貝柱のまわりにあるヒダヒダを丁寧に外します。 

4)キモも一緒においしく頂けます! まったく苦くありません。

21:00頃 お風呂ばかりか夕食までごちそうになり、全員でお礼を言います、明日は5時出港なのでこれでお別れです。

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2007年8月15日 05:40 少し予定よりも寝坊してしまい。 40分遅れで仁田港を出港します。

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昨日の天気がうそのように穏やかな朝

電子海図スクリーンショット

対地速度8ノットで本日入国手続き予定の厳原港へ向かいます。

開庁時間に合わせて、入港時刻連絡します。 この日、関係各機関は対馬北部の比田勝港へフェリーの乗客の入出国手続きのため出張するので早く来てほしいとのこと・・・。

ECS上にコースラインを引いて、現在の速度で表示される厳原到着は09:50 

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予定では、前日に浅茅湾でアンカー後時間調整して厳原入港でした。

 

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08:30 万関瀬戸通過

やばい10時着ギリギリっぽい

再度電話、とにかく早くきてほしいとのこと。 とはいっても全開なので、これ以上どうにもなりません。

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09:54 厳原港着桟

さっそく入管、検疫、税関と手続きに入ります。 税関職員からキャビン内に大量の段ボール、これ何ですか? (金さんに土産として頂いた大きな海苔の段ボール一人1個) 韓国海苔です; ずいぶんたくさんですね? お土産で頂いて・・・ はいわかりました。 燃料の記載がありますが? 航海中に韓国での給油分は、消費しました。 はいわかりました。 以上です。

これで、法的な手続きはすべて完了です。 保安部へ無事帰国した旨報告に行きます。 前日は、定期高速船も欠航、済州島から帰ってきたヨットが浅茅湾内で座礁したと聞かされます。 浅茅湾で座礁って? 海図持ってなかったんかな?

電子海図スクリーンショット

予定では、対馬留まって翌日ゆっくり帰る予定でしたが、南西から次の低気圧が接近しています。 船長判断で、さっさと博多に帰ってゆっくりしようと決定。

10:33 厳原港出港 写真

一路、小戸ヨットハーバーへ

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びみょーに風が使えそうな感じ、ヒマなのでちょっとセイルを出してみる。

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無駄な抵抗でした。 すぐに風は落ちてほぼ無風に、こんな穏やかに日に行きたかった。

傍らを40ノットで博多に向かうジェットフォイル

今回、なかなか予定通りに事が進まなかったのと、出港準備の際にプロパンガスのことをきれいに忘れていてガスによる煮炊きができなかったこともあり、食材が結構あまってしまいました。 お昼は残飯整理の焼きそばです。

電子海図スクリーンショット

2007/08/15 18:18 小戸ヨットハーバーへ無事着桟

みんなもうヘロヘロですが、航海を無事に乗り切った満足感でいっぱいです。

次の回航まで少し日があるので、船をしっかり固めて、博多駅から岡山へ帰りました。 

 

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このあと、博多~上関~尾道 1週あけて 尾道~牛窓と回航しホームポートまで戻りました。

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